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mespesadoさんによる1億人のための経済談義(73)オカネの誤解を解くためのエッセンス [mespesadoさんによる1億人のための経済講]

堺のおっさんが、「10回は繰返し、繰返し熟読してほしい」と呼びかける、mespesadoさん渾身の記事です。これをじっくり頭に入れてから、講演会資料を読み、DVDを視聴すると理解がさらに深まります。論理をそのまま受け入れるのでなく、自分の頭で咀嚼して再構成してみることが大切です。mesさんの話は「説」でなくて「事実の積み重ね」なので、自然そうなるはずです。堺のおっさんが言います。《「メッさんの>>587はこれからの日本の最大の論点だ。右や左の旦那様で事足りた従属国家時代は終わり、自立国家を目指す限り、緊縮財政派か否かが最重要な色分けとなる。もはや過去のイデオロギー等、くそ食らえ。右であれ、左であれ、緊縮派は亡國の輩である。》

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587 名前: mespesado 2019/06/01 (Sat) 19:10:45

 反緊縮についての説明も、どうやったら人に伝えやすいかを考える段階になってきた。
 まず何を伝えたいのか?
 それは要するに次の二つのことに尽きると思う。

 ① 財政赤字は拡大してもよい。
 ② 財政赤字は拡大しなければならない。

 ところで人を説得する場合、こちらの話を聞いてもらわなければならないが、そのためには一見常識に反することを言って、しかもちゃんとその意外な事実を目の前で「論より証拠」で証明してしまうのが一番良い。
  この場合、①と②でどっちが常識に反するかというと、そりゃ②の方だろう。確かに①だって常識に反しはするが、単に「財政赤字は拡大してもよい」という文章だけ聞くと、家計と国の財政を同一視してる人からすると「家計の赤字は拡大してもよい」と言われたのと同じに感じて「オカネにルーズな人の考えだな。どうせ何かを売りつけるために気分を大きくするためのヨタ話だろう」と思われるのがオチだから。
 なので、まず最初に話すべきは②の方だ。そして②の話で相手をびっくりさせるには、財政赤字を拡大しないとトンデモナイことになることを説明しなければならないが、そのトンデモナイこととは、まさに天地がひっくり返るようなことであれば、なお良い。
  で、財政赤字とは要するに国の「借金」だが、相手は国家財政を家計と同じに考えて「借金」が良くないもの、不道徳なものだと思っているから、思い切って彼 らの道徳に合わせてこの「借金」について、「もしすべての借金を返したらどうなるか」と質問してみればよい。きっと家計のことを念頭に置いているから、何がしか肯定的な答が返ってくるだろう。
 そこで意外な事実を語るのだ。日本のオカネは現金(≒マネタリーベース)と銀行預金(マネーストック≒銀行の外の現金+預金)からで成り立っており、しかもその大半(8~9割)は銀行預金であることを説明する。これは「事実」だから受け入れられるだろう。
  そして、ここからが「常識に反する」第2弾の登場。もしすべての借金を返してしまったら、オカネの大半が消えてなくなってしまうことを告げるのだ。すると 「え?何で何で?」と訊いてくると思うので、そこで「信用創造」すなわち「個人や私企業や国が借金をするとオカネが増える」という、彼らの常識からは信じがたい事実を説明するのだ。なぜ常識から考えると信じがたいかというと、普通の人にとって、実際の生活の中でオカネのやり取りをするときは、必ず一方のオカネが減って、同額だけ他方のオカネが増える。つまり全体のオカネの量は変わらない。これは店での買い物でも公共料金の支払いでも何でもそうだから、そういう経験しかしていないからそのように信じるのは無理もない。しかも、普通は「借金」というと個人間の借金を想像するから、借金の場合ですら、貸した方が 一時的に貸した額だけオカネが減り、借りた方が同額一時的に増える。だから「借金」の場合ですら、全体のオカネの量は変わらないと思い込んでいるわけだ。
本当の経済とオカネの話(pdf版)-2-25.jpg ところがあに図らんや、実際に絵を描いて説明すると、個人や私企業が「銀行から」オカネを借りた場合には、実際に誰のオカネも減らずに借りた人の口座の残高というオカネだけが増えている!
 この結果は「全体のオカネの量は変わらない」と信じている人にとってはあまりにも衝撃的な事実だから、何度も絵を見て確認するのだが、単純な事実であるから最後は納得せざるを得ない。
 そこで次に国債の発行に伴って財政出動する場合の「実際の」オカネの流れを説明することにより、「国が借金した場合」の話をする。
  この仕組みは個人が銀行から借金する場合よりはやや複雑だが、この場合もやはり(国や日銀を含む)誰のオカネも減らずに「財政出動を受託した企業の銀行預金」だけが「増えている」という衝撃的な結果が得られる。ここでも多分聞き手はびっくりするが、既に銀行からの借金でオカネが純増している事実を納得したのだから、それよりプロセスは多少複雑とはいえ、同じ方向の結論であるから最後は納得するはずである。
 ここまで納得してもらえれば、「ということは、逆に個人や銀行や国が借金を返せばオカネが消える」ことを理解するのは造作もないことだ。
  かくして「個人や私企業や国が借金をすべて返すとオカネの大半が消滅する」ことを理解させることができたわけだ。そして更に畳みかけるように、「個人の借金は微々たるものだし、私企業の借金は高度成長が終わって設備投資が要らなくなって資金の需要が無くなったからあまり借金をしなくなった。だから、かわりに国が借金をしてくれているのだ。だから、国の借金、つまり財政赤字を減らしたら、肝心のオカネが無くなってしまうのだ、というカラクリは理解したでしょう?」と言って相手の顔を見るのだ。
  ここまでで、相手は2つの常識に反する事実を理解したことになる。つまり「オカネというのは決して量が不変なのではなく、個人や私企業や国の借金の度合いによって増えたり減ったりするシロモノである」という事実と、「国の借金が無かったらオカネそのものの大半が消滅してしまう」という事実だ。これで相手に②を理解させることに成功したわけだ。
  次は①だ。これは財務省の洗脳を解くことと同値だから、権威を信じている人には結構ムツカシイ。そこで「MMT」という「権威」を利用する。とは言っても 「MMTによれば~」と権威には権威で対抗するのではなくて、こちらはあくまで権威に頼らずに事実の積み重ねで説明し、結果があまりにも常識に反するので 相手が訝っているときに「でもね、この意外な結論は、MMTと言ってオーストラリアや米国の経済学者によって既に唱えられていますよ」と言って、相手の 「論理」に基づくのではない「感情的な疑念」を消すために使うだけだ。
  さて、その「事実による説明」だが、まず最初に国が個人や企業と違うのは「自由にオカネを刷れる」という事実にある、と気付いてもらう必要があるのだが、 これが結構難所になる。というのは、みんな個人や指摘組織がオカネを刷ったりしようものなら「偽札作り」の重罪であることは当然に知っているから、「オカ ネは作れないもの」というよりも、むしろ「そりゃ物理的には作れるけど作ってはいけないものだ」と根っから信じているからだ。
 そこで、こういう場合には逆から質問してみる。「それじゃあ、何で個人や私的組織はオカネを作っちゃいけないの?」と。
  「だって法律で禁止されてるから」と権威主義の人は答えるかもしれないけれど、そしたら「じゃあ何で法律で禁止していると思う?」と畳みかければよい。す ると「個人や私的組織で勝手にオカネを作ったらズルいから」とかいう答が返ってくるだろうから、「どうしてズルいの?」と訊く。すると「だって普通は汗水 たらして働かなきゃオカネが手に入らないのに、働かずにオカネが手に入ったらズルいでしょ?」と返ってくる。あと少しだ。そこで「ズルい、というだけでは 個人的な不満に過ぎないよね。でもそこで思考を止めないで、そのズルいことが仮にまかり通ったとしら、社会全体にどんな悪影響が出るかな?」と訊いてみ る。すると「みんながズルしてオカネを作ったら、誰もオカネを稼ぐために働く人がいなくなって、労働がゼロになり、何も生産されなくなってしまう。何も生産できないと、消費もできなくなるから困る」と、まあここまで理路整然と答えられないかもしれないから、そこは少し誘導しながら説明してもよい。つまり個 人や私的組織がオカネを勝手に作れないというルールにしているのは、「消費するための生産を確保するためなのだ」という根本的な理由を理解してもらうこと が大切なのだ。
 これで、相手は「オカネを作っちゃいけない」という単なる「道徳」レベルでしか今まで理解していなかったものが、その「根拠」までも理解したことになる。
  そこで「でも実際はオカネを作れる、作ってもよい、という特別な人がいる。だーれだ?」とクイズを出すと、紙幣を印刷したり硬貨を鋳造している人が確かにいるはずだから、その人を名指ししたりするだろう。でも多分、オカネを作れるとは言っても、それは「古くなったオカネを廃棄してその分新しく作り直している」くらいにしか考えていないのではないかと思う。なぜなら、ずっと「オカネは量が増えないものだ」と信じて来ていたから。
  そこで、いやそんなことはないよ。増やしたっていいんだよ、と説明する。ただし「増やすことが物理的に可能」であることを示しても意味は無くて、「増やすことが許されている」ことを示すわけだが、これには論より証拠、「増やすことが法律で許されている」ことを示すのが一番手っ取り早い。それには財政法の第4条第5条の「但し書き条項」を見せれば十分だろう。
 ただし第5条が述べる「財政ファイナンス」、つまり日銀による国債の直接引受がなぜオカネを刷ることと事実上同義であるのかは説明しておく必要があるかもしれない。
本当の経済とオカネの話(pdf版)-2-85.jpg  すると相手は「そんなの、国だけオカネを刷れるなんてズルい!」と叫ぶかもしれない。そこで、個人と私企業と国それぞれのオカネの収支に関する「受益者」 の話をする。個人や私企業の「受益者」は特定の人なのに対し、国の受益者だけは「国民全体」であること(もし相手が受益者を公務員や国会議員だけだと勘違いしていたら、彼らの給料なんて全国家予算の5%くらいだよ、という事実を指摘しておけばよい)を説明し、「全員が受益者なら別にオカネを刷ったって誰に とってもズルくないだろ?」と念を押すわけだ。
  ここは彼らにとっての常識中の常識である「オカネは勝手に作ってはいけない」という最大のハードルを越えるわけだから、理屈では納得しても心は付いて行けないところかもしれない。そこでいろいろ関連の話をする。まずはオカネの歴史、すなわち「実物貨幣 → 貴金属貨幣 → 兌換(=金本位)紙幣 → 不換(=管理)紙幣」という歴史において、兌換紙幣までは、すべてオカネを増やすことが原理的にできなくて、これが自由に増やせるようになったのはつい最近の変動相場制(=管理)不換紙幣になってからだ、ということを示して「だからオカネが増やせるという常識がまだ根付いてないんだから簡単に理解できなく ても不思議ではない」と説明したりする。
 このときもし相手が鋭い人で、「国がオカネを刷っていいなら何で税金を取る必要があるの?」と突っ込んでくれればしめたものだ。
本当の経済とオカネの話(pdf版)-2-89.jpg  ここで、第3の「常識に反する話」の登場だ。「税金は国の財源などではなく、実はオカネの量が増え過ぎないための通貨の回収行為に過ぎない」という「事実」を告げるのだ。我々は、ことあるごとに「税金の無駄遣い」だの「お前ら(公務員)は我々の税金で食ってるくせに」とか言うが、こうした発言の根拠となる常識を根底から覆すわけだから、相手は天地がひっくり返ったように驚くだろう。
  そこで、「国はオカネを発行している発行主体なんだから、自分が発行したオカネを徴収するということは、ポイントを発行したコンビニがポイントを受け取る のがポイントの回収に過ぎないのと同じこと」と念押しし、更にそういう事実はMMTという経済学者お墨付きの理論でも指摘されてるよ、と中野剛志さんの著書でも見せてダメ押ししておくのもいいかもしれない。
本当の経済とオカネの話(pdf版)-2-91.jpg こうして政府はオカネをいくらでも刷れるんだから、財政赤字がいくら増えてもオカネを刷って返すことができるから財政破綻することはない。このようにして一番最初の①の「財政赤字は拡大してもよい」というのを納得してもらうわけだ。
  ↑以上の内容に「そもそもなぜ日本は高度成長の豊かな時代から平成不況に転落したのか」という真の原因の説明を前段に持ってきて付け加えたのが今回の5月18日の山形県で行った講演の中身である。ただ、その講演は2時間という長い講演だったので、オカネの誤解を解くためのエッセンスの部分だけを抜粋したのが今回の書き込みの内容です。

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